512蜊ェフ竿掛

ふゆじ たくつち           こぼ                     
冬支度土のものより土零れ
石山秋月
おおとし              い              ほ      な
大年の風の出できし干し菜かな
はつしも            ねぎ      かか
初霜やあはうみの葱をひと抱へ
                    ひ                    とうがらし
つごもりの日当る軒の唐辛子
          つま
このごろの夫のふきげんとろろ汁
そうで      か    あと   おちほ
総出にて刈りし跡なる落穂かな
のうさぎ  まなこ      かれの
野兎の眼の奥の枯野かな
    なき        なき      ふゆがらす
ひと啼きにふた啼き返す寒鴉
          こほく       ゆきもよ
大根干す湖北の空の雪催い
    にわ      こく      かんすずめ
この庭にこの刻に来る寒雀
新屋信子